マル・アン・ボワ

編集プロダクション「オフィス・ギア」が綴るフランスDiary
MENU
フランス A to Z

フランスの切手とマリアンヌ - その1

「マリアンヌって誰?」の記事を読んで、
“マリアンヌ”への興味が深まってきたでしょうか〜?
パリのレピュブリック広場に建つ像など、
街かどでも出会うことができるマリアンヌですが、
人々にとって一番身近なマリアンヌといえば、切手です。

普通切手に描かれている女性がマリアンヌで、
そのデザインは大統領が変わるごとに新しくなります。

切手マリアンヌ01
上がオランド前大統領が就任した翌年の2013年7月14日に発表されたマリアンヌ切手。
今、フランスに行くと、このデザインの切手が流通しています。
David KawenaとOlivier Ciappaの男性ふたりのユニットが手がけたもので、
テーマは「マリアンヌと若者 Marianne et la jeunesse」。
1000人の高校生が投票して選んだそう。
ちょっとマンガっぽい…?

下はサルコジの大統領時代、2008年に発行された
イヴ・ボージャールYves Beaujardによるマリアンヌ切手。
横顔が美しいですね〜!


切手マリアンヌ02
こちらは2005年発行のティエリー・ラ・ムーシュThierry Lamoucheのマリアンヌ。
スッキリした線で描かれ、個人的にとても気に入っていました ^_^


切手マリアンヌ03
シラク大統領が1995年に就任し、1997年に登場したエーヴ・ルケÈve Luquetのマリアンヌ。
シラク2期目がひとつ上の写真のムーシュのマリアンヌです。


切手マリアンヌ04
ミッテランの大統領時代、1989年から発行になったルイ・ブリアLouis Briatのマリアンヌ。


切手マリアンヌ07
この写真には2種類のマリアンヌが写っていますが、
どちらもピエール・ガンドンPierre Gandonのマリアンヌ切手です。
上段がダヴィッドの『サビニの女たち Les Sabines』から、
中段と下段がドラクロワの『民衆を導く自由の女神 La Liberté guiant le peuple』から
きているそう。


切手マリアンヌ06
どちらも女性か男性か分かりにくい気もしますが、
れっきとした女性なんです(笑)
上が1961年ジャン・コクトーJean Cocteauのマリアンヌ。
(ちょっとデビッド・ボウイ似…!?)
下が1971年ピエール・ベケPierre Bequetのマリアンヌです。


----------------------------------------
どうですか?
マリアンヌ切手にも興味がわいてきたでしょうか。
「フランスの切手とマリアンヌ - その2」へ続きますよ!


フランス A to Z

マリアンヌって誰?

Eugène Delacroix - La liberté guidant le peuple.jpg
By Eugène Delacroix - This page from this gallery., Public Domain, Link


フランスの自由の女神、マリアンヌ。

自由を意味するフリジア帽をかぶった、フランス共和国を擬人化した女性像で

18世紀末のフランス革命以降、共和国の象徴として国王に代わって貨幣や切手、絵画に描かれてきました。

国の象徴としては、お馴染みの三色旗を優先することが1958年に決まっていますが、

それでもほとんどの公立学校や市役所には、このマリアンヌ像が飾られています。


特にドラクロワの『民衆を導く自由の女神』(1830)で描かれた頼もしい革命家の姿で広く知られていますが

実はマリアンヌには色々なバリエーションがあるんです。


パリのリュクサンブール宮にある上院(セナSénat)に集められたマリアンヌ像を見てみましょう。

因みに、セナはヨーロッパ文化遺産の日の特別公開でのみ見学が可能です。


ここで突然ですが、実は下の写真には名女優カトリーヌ・ドヌーヴがモデルとなったマリアンヌ像があります。

さて、どれでしょう……?


Marianne.jpg 


写真左の優しげな太眉のマリアンヌ像はとても気になるのですが、残念ながら作者不明。

右上の力強い描線が印象的なリトグラフはベルナール・ビュフェの作。

その左下、月桂冠とフリジア帽をかぶり、胸元に人間と市民の権利宣言をつけた像、これも美人ですが違います。

右手前のダウンヘアが美しい石膏像、こちらがカトリーヌ・ドヌーヴをモデルとしたマリアンヌ像(ポルスカ作)です。


Marianne2.jpg 


国の象徴であるマリアンヌには公式のモデルは存在しませんが、AMF(フランス市町村長協会)によって選ばれた

有名女優や歌手が胸像のモデルを努めることがあるそうです。

なお1968年、最初のモデルとなったのはブリジット・バルドー。

さすがBB、名実ともにフレンチアイコンだったんですね。


顔も髪型もさまざまなマリアンヌ像。

こうも色々あると、赤い三角帽子さえかぶせておけばマリアンヌと言えそうですが、

第三共和政の時代にはフリジア帽は過激だとして、月桂冠や髪飾りを代わりにつけたことがあったようです。

革命家としてのマリアンヌは、髪を振り乱し乳房を見せて大股で歩く勇ましい女性でしたが、

共和国の象徴として、平和的で思慮深いマリアンヌ像が望まれた時期には、女性的な装いのマリアンヌ像が増えたのでした。


ここで先のセナの写真をもう一度見てみると、

現在造られているマリアンヌ像は、どちらかと言えば守護者としてのマリアンヌが強調されているようです。

時勢によって変わる国の姿を、こうして人物の表情として見ることができるのは面白く、

芸術の国フランスならではなのかもしれません。


さて、このマリアンヌ、今またさらに変貌を遂げているのですが

それはまた改めて……


1000人の高校生が選んだマリアンヌとは?


映画

「美女と野獣」の村はどこ?

 大ヒット中の映画『美女と野獣』を観てきました。
ディズニーのアニメーション映画(1991)を実写化したものですが、18世紀にフランスで書かれた物語がベースになっています。

 bijocinema bijolibre
ちなみにこちらの本のイラストは「地球の歩き方Plat」で素敵なイラストを提供くださった朝倉めぐみさんの作。

強欲な姉たちが登場しないとか、ガストンという人物の存在とか、ディズニー版は原作を少しアレンジしてありますが、観ているだけでうっとりする映像、聴く人の心をぐっとつかむ音楽はさすがディズニー。アニメ版を観ていなくても、十分楽しめる内容でした。

舞台はフランス。
主人公のベルはお父さんとふたり、小さな村に住んでいます。
映画はセット撮影されたものですが、モデルになった村のひとつが、南西部にある「コンクConques」らしい、と少し前にテレビで報じられたそうです。なんでも関係者が下見にきたとか。

コンクは、スペイン北部、サンティアゴ・デ・コンポステーラへと続く巡礼路沿いにある村。
中世のまま時間が止まってしまったかのような家並みが残り、「フランスで最も美しい村」にも登録されています。確かにそのままでもロケ地として使えそうな村で、物語のイメージにもぴったり。
実際に観てみると、映画に出てきた広場の奥にある教会は、コンクのサント・フォワ修道院教会に似ています(これからご覧になる方は、教会正面、入口の上にある半円形のレリーフ「タンパン」に注目してくださいね)。平たい石を重ねた素朴な造りの屋根や、民家の雰囲気も。

bijoConques  bijoConques02


この感じ、まさにベルの村そのまま・・・・と言いたいところですが、ちょっと違うところがありました。村の下に流れる川の景色、丘の上に乗っかった感じの遠景。これはどこかで見たような・・・・・・

bijo02
bijo03

上はやはりフランス南西部にある村、サン・シル・ラポピー。
そして、下は南仏コート・ダジュール、ニースの近くにあるエズです。
ディズニーが実際に参考にしたかどうかはわかりませんが、フランスには、『美女と野獣』に出てくるような風景が、今もリアルに残っているのですね。


bijo_barbizon
映画を観たあとは、こんなポットが話しかけてきそうな気になりますね〜

アート

シャンパン片手に「ランス美術館ナイト」

シャンパンをいただきながら、今開催中の美術展のお話をたっぷり。
しかも、その美術展のチケット付き。そんな素敵なイベントに参加してきました。
場所は、アート関連のイベントを数多く開かれているブックカフェ「6次元」さん。
http://www.6jigen.com/

六次元2017517_2


本日のテーマは、現在、損保ジャパン日本興亜美術館で開催中の「ランス美術館展」。
店主であるナカムラクニオさんが、いろいろなエピソードを交えてお話くださいました。

ランスは、シャンパンの産地であるシャンパーニュ地方の町。
画家のレオナール・フジタ(藤田嗣治)が手掛けた、小さな礼拝堂があることでも知られています。
フジタはG.H.マム社の資金援助を受けて、この礼拝堂の壁画を仕上げました。

六次元2017517_5六次元2017517_3
  
まさにそのG.H.マムのシャンパン(ロゼ!)がグラスに注がれて・・・・・・もう気分はシャンパーニュ。
ミュズレ(王冠)もバラ色で素敵、と思ったら、描かれたバラはフジタが描いたものなんですって。

六次元2017517_4

さて、「ランス美術館展」。
今回来日しているのはフランスの近代絵画が中心で、フジタの作品のほかに、ちょうど三菱一号館美術館でみて気になり始めた「ナビ派」の作品もいくつか。
そしてダヴィッドの『マラーの死』。ベルギー王立美術館にあるものの別作品になるようですが、危険なくらい美しい死体ですね。

六次元2017517_6

名前は聞いたことがあるけれどそれほど・・・みたいな作品もありますが、こんなときナカムラさんが作られた「人間関係図」(twitterで公開されています)を見ながら鑑賞すると、なんだか親近感がわいてくるから不思議です。
どんな作品も、たどっていけば好きな画家につながるんですね。

最後にお話されていた、アウトサイダーのアーティスト、セカンドラインの芸術ナイトがあれば、また行ってみたいです〜

「フランス絵画の宝庫 ランス美術館展」

東京、損保ジャパン日本興亜美術館にて開催中。2017年6月25日まで。月曜休館。

http://www.sjnk-museum.org/program/current/4652.html


アート

女子割で「オルセーのナビ派展」!

明治時代の洋館を復元し、建物も素敵な三菱一号館美術館。
第2水曜日の17時以降は「アフター5女子割」で入場料が1000円(通常1700円)になると知って、開催中の「オルセーのナビ派展」をみてきました。

nabinabi01.jpg 
 
「ナビ派」。ちょっと聞き慣れない名前ですが、19世紀末、ボナール、ドニといった若き画家たちが、自らを「ナビ(預言者)」と呼んで始めた芸術運動です。
きっかけとなったのは、ブルターニュ地方の小さな村ポン・タヴェンで制作活動を行っていたポール・ゴーギャンとポール・セリュジエの出会いでした。
見えたものをリアルに描くのではなく、心象風景を大胆な色使いで(色を置くと言ったほうがよいかも)描くゴーギャンの作風に魅せられたセリュジエは、パリに戻り、ドニたちにその感動を伝えます。深く共感した画家仲間とともに立ち上げたのが、「ナビ」という新たな流派でした。

PontAven_01
ポン・タヴェン村。今もアーティストたちが暮らす芸術村として知られています

「オルセーのナビ派」とタイトルにあるように、展示作品はパリのオルセー美術館が所蔵するコレクションがメインになっています。
オルセー美術館。いつも、印象派作品のチェックに追われて、ついついほかの展示室は駆け足になってしまうのですが、現在の館長が「ナビ派」の研究家でいらして、軸足を印象派からナビ派に移しつつあるとのこと。コレクションも増えているそうで、今度オルセーに行ったら確認しなくちゃ。
 
 nabi_3
左はボナール、右はドニの作品。日本好きのボナール、構図が浮世絵の「見返り美人」ぽいですね

見学後、ブティックでグッズを見ていたら、なんと、ポストカードに塗り絵がセットされてるではありませんか。輪郭とフラットな色面で描かれたナビ派の作品は、確かに「塗り絵」ぽいところが。
観るだけでなくて、描いてみる。美術展の楽しみが広がりそうです。

nabi02

アフター5女子割は、ボディソープのサンプルとかもらえるクーポン付きなのですが、当日限りなので、結局使えずじまいだったのがちょっと残念。
次回は時間配分を考えて、たっぷり楽しみたいです。

三菱一号館美術館にて5月21日まで。